八ヶ岳で暮らしたい人の多くは、自然を感じられる「環境」で、自然を感じられる「家」に住みたいと思っているはず。

そうした人にとって、オーダーメイドの設計で建てる木の家は憧れですね。八ヶ岳では、施主それぞれのこだわりを実現した木の家をよく見かけます。

「アトリエDEF」は、長野県上田市に本社がある、国産木材の住宅づくりを手がける工務店さん。諏訪郡原村に設計部門やマーケティング部門を持つ営業所があり、宿泊体験ができるモデルハウスもあります。木造住宅の設計・施工会社としてはやや変わっていて、八ヶ岳エリアではちょっと目立つ存在なのです。

以前からとても気になっていたアトリエDEFさん。原村営業所をお訪ねしてみました。

アトリエDEFさんの原村営業所ミーティングハウス。
ここでは、スタッフ全員で食事もします。

設計・施工会社と言うと、ちょっと威張った設計の先生やガテン系の職人さんや営業のおじさんがいる男性の世界というイメージなのですが、スタッフさんは優しそうな若い女性が多くてびっくり。

八ヶ岳営業所の敷地内には、木立ちの中に幾つかの建物が点在していて美しい風景をつくっていました。本部事務所になっている建物や設計チームが仕事をする建物の他に、ツリーハウス、かまど、木工の工房、オーガニック商品を販売するショップ、そしてモデルハウス「循環の家」など。

設計スタッフさんのオフィス棟。
オフィス棟の中は明るくて、大きなガラス張りの開口部が気持ち良さそう!
森の中にいるようでした。
左半分がオフィスで、右半分はショップ。
建物が森に融和していますよね。
ショップにはオーガニック商品などが並んでいて、
「地球に優しい暮らしのあり方」がイメージできるようでした。

アトリエDEFを率いる大井明弘社長。ガテン系ではなくて、たいへん柔らかな雰囲気を持つ方でした!

「うちはお昼ご飯はみんなで一緒に食べるんですよ。毎日かまどでご飯を炊いて食べるの。今日の当番はじんさんね。」

え・・・。聞いてませんが・・・!
かまどでご飯なんて炊いたことないです・・・。

オドオドする私に社長室スタッフの山口さんが先生になってくれて作業開始!アトリエDEFさんが管理している森で出る木っ端をくべて、マッチで火を付け、ウチワでパタパタ。この日は雨で湿っていたのでなかなか付かなかったが、山口先生の手慣れたサポートでなんとか無事に着火しました。

火を見ているとなんだか心が落ち着きますねえ。なんでしょう。火はあたたかい。そしてちょうどいい元気をくれるんですねえ。

かまどのある小屋。ここで木っ端をくべてご飯を炊きました!
炎を見ているとなぜか気持ちが落ち着きました。
先生のナイスな指導で、かまどご飯完成!

みんな揃って手作りご飯いただきます!

スタッフさんが育てた野菜の料理が並び、和気あいあいのランチタイム。

野菜はほとんどスタッフさんたちが育てたんだそうです。お味噌も手作り仕込み。お肉もお魚も登場しませんが、本当に美味しかったです。新鮮なもの、添加物が入っていないもの、手料理はいいですねえ。こんなお昼ご飯が毎日会社で食べられるなんて幸せですね。

大井社長は、もともとハウスメーカーに勤めていた時に生まれたお子さんがアトピーになり、新建材の化学物質がアレルギーを引き起こすハウスシック症候群のことがとても気になったことが、独立してアトリエDEFを立ち上げたきっかけ。国産木材と、害のない建材や塗料などを使用して、環境にも健康にも良い家づくりをすることにしたのだそうです。

大井明弘社長。「家づくりは暮らしづくり」という言葉が響きました。

「僕たちは、家を造るのではなく、暮らしを創っているんです。

国産木材を使用すれば、森に手が入り整備され資源が循環していく。木材が使用できる森を探し歩き、手入れをしながら木材を使っている。実際に森を手入れし整備するボランティア活動に参加してもいる。

伐採した木はまるごと使っていきたいので、間伐材を使用した木の器なんかも作って販売しているんです。間伐材は、家具やペレットストーブの燃料にもなるんだよね。全部使える。

スタッフさんが間伐材でつくっているお皿。「山のお皿」と言うのだそうです。
近々、ネット通販予定!
明るくて頼もしい、マーケティングスタッフの山口絵衣さん。
セミナーでは講師役としてレクチャーもしています。

森と工務店を繋いでいき、もっとたくさんの工務店が国産材を使えるようなしくみができたらと考えています。森の木と工務店とを繋げられたらいいなと。

いろんな工務店さんやハウスメーカーさんがうちに視察に来られて、良くここまでやっていますねえと言うんです。それならあなた方もおやりなさいと言うんだけど、なかなかできない所が多いよね。うちは妥協するなんて考えられないけど。

家を造ろうとしている人には、日本の森を守りたい・木を育てたいから国産木材の家を建てたいという考え方をして欲しい。地球に迷惑をかけない暮らし方をして欲しいよね。自然と共にある暮らしの良さを体験してもらうために、「循環の家」という体験住宅を用意しています。ここに泊まると、皆さん考え方が変わります。

一般の人達は、森のこと、木のことをあまりに知らないですよね。間伐材なんて知らないでしょ。知ることが大切なんだけど、それには伝えることなんだよね。子供たちには特に、自然は循環していることを伝えたい。木のこと、植物のことを知って欲しいね。セミナーはやっているんだけど、学校を創りたいと思っているんです。自然のことを学んで、生きる術を身に付けていく教育をしたいんだよね。」

『家を造るのではなく暮らしを創る。』
『地球に迷惑をかけない暮らし方をする。』

八ヶ岳生活が自然と共にある暮らしであったらどんなに心地良いだろうと、想像するだけで気持ちが晴れ渡っていくのはなぜでしょう。いろいろなことに気づくとても良い時間を過ごさせていただきました。

アトリエDEFさんのセミナーは、2002年初夏現在はコロナ禍でオンライン開催になっているようですが、コロナ禍が収束する近い将来は、森の手入れイベントや、みんなでかまどご飯を囲むイベントなどに、ぜひ参加してみたいと思いました。みなさまもぜひに。

営業所の敷地内にある体験モデルハウス「循環の家」。
1階の玄関を入ると土間に薪ストーブがあり、家全体に熱が行き渡り温まる設計。
1階はリビング兼寝室として使う想定。広々です。
2階は、天井が高く傾斜になっているので開放的。
大きなガラス面から入る明かりが気持ち良く、風景がご馳走のような空間です。
奥にアイランドキッチンとダイニングスペース。手前が和めるリビングスペース。
階段そばに、トイレ、浴室、洗面台のあるユーティリティスペースがあります。
循環の家のビオトープ。雨水がせせらぎになり、水生植物が育っていました。
かまどに薪も用意されています。かまどご飯が作れます!やったー!!笑

■アトリエDEF 八ヶ岳営業所
http://a-def.com/
長野県諏訪郡原村17217-408
TEL.026-217-7510



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